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最高裁判所第二小法廷 昭和61年(オ)1499号 判決 1987年4月24日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人塚田武の上告理由について

道路運送車両法による登録を受けている自動車については、登録が所有権の得喪並びに抵当権の得喪及び変更の公示方法とされているのであるから(同法五条一項、自動車抵当法五条一項)、民法一九二条の適用はないものと解するのが相当であり、また、商法五二一条所定の留置権は、法律上当然に発生し、当事者間の取引により取得される権利ではないから、民法一九二条にいう動産の上に行使する権利には当たらないものと解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 林 藤之輔 裁判官 牧 圭次 裁判官 島谷六郎 裁判官 藤島 昭 裁判官 香川保一)

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